次の特訓メニューは100mバイアスロン。
マネージャー6人は100m先のゴールラインにいる。
ストップウォッチで計測するためだ。
私はボール拾いの他の選手からボールを回収する係。
遊人監督の近くに行くと、小声で話しかけられた。
「お前、前野球やってたよな?今でもこれ出来るんじゃねーか」
『さあ、キャッチボールならともかく、走りながら投げるのはどうですかねー』
そう言って笑う。
昔はよく魁と由太郎と野球をやっていたものだ。
いつの間にか一緒にできなくなっちゃったけどね。
体力的な問題で。
皆がボールを外す、もしくはスピードが遅くなってしまう中、御門が最後に走る。
いまのところスピードだけでは兎丸君が一番。
正確さではレギュラーが並んでるかなー。
まあ、御門だから全然心配してないんだけどね!
御門は走り出す。
初速こそ兎丸君に負けているものの、スピードが乗ると、同じくらいになる。
そして的に向かってボールを投げる。
御門のポジションはサード。
バッターが一塁に出たいと思う場合、もしくは
一、二塁に走者がいる場合、必ずと言っていいほど、三塁(サード)側にボールが転がってくる。
そう、サードはかなりボール捌きが重要なのだ。
そのサードを任されているということは、ボールのスローイングがとても上手いということ。
御門のボールは的の真ん中に。
続けて二つ目、三つ目。
そして四つ目はボール1個分。
御門は目を閉じた。
そして御門のボールは四つ目の的に命中する。
「タイムは11,58」
『兎丸君と一緒ですね』
御門の肩にかかっているバッグを受け取りに行く。
『お疲れ様、かっこかったよ、御門』
そう言って未月ちゃんに持ってもらっていたジャケットをわたす。
「普通のことだよ。練習は嘘をつかないからね」
『そうだね、御門野球ラブだもんね』
「それは君もだろう」
これで、二日目の特訓終了だ。
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