合宿二日目その1
合宿二日目が始まる。

今日は基本的な身体能力の確認。

まずは守備の特訓だ。

三球同時ノック。

三つの球のうち一つが軟球で、その軟球を見極めて取るというもの。

しかもボールはすべて土がつけられている。

地面に落ちた瞬間に一瞬見えなくなるのだ。

私は転がったボールをかごに戻す係。

小さい頃からの草野球で少し経験したものが生かされる。

『ほらほらー、全く取れてないよー1年!』

左手のグラブでボールを受取りながら叫ぶ。

「やっぱこの特訓はダメだな、かなりできない奴が多い」

遊人監督は笑う。

それがあなたの狙いでしょうが、と少しあきれる。

しかしその中でスーパーフィールディングを見せた一年がいる。

『司馬くんすごい!』

三球を手、グラブ、足でキャッチしたのだ。

皆が驚く中、次の選手のプレーによってその驚きが消える。

次は蛇神君だもの。

三球を同時にグラブで捕球する。

さすがにあんなの見せられたらだれもさきほどの司馬くんの方がすごいとは思わないだろう。

その後、レギュラーの皆は軽々と軟球だけを取ってゆく。

さすがだねー。

猪里君も普段の可愛さが一変してかっこいい。

いや、虎鉄はいつもの通りだよ。


そして御門の出番だ。

着ていた赤いジャケットをぱっと脱ぎ捨て、それを落ちる前に私は拾い上げる。

『汚れるからマネージャーに渡せばいいのにね』

きちんと折りたたんで、近くにいた未月ちゃんに渡す。

御門はすぐに軟球だけを取る。

当然だ。

なんでもできるんだから。


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