お風呂その2
ここからバストの話になる。

三年の撫子はC、鶫はD。

二年の二人はC。

一年の凪ちゃんはC、檜ちゃんはB、もみじちゃんはFらしい。

下世話な話は好きではない私はため息をついた。

「仮名先輩は何カップっすか!」

もみじちゃんが意気揚々と聞いてくる。

そんなにわくわくしないで。

「仮名はEでしたわよね」

と撫子。
なに言ってるの!

『そうだけど、ばらさないでよ……!』

「着痩せするタイプなんすね」

もみじちゃんはこちらにスススと寄ってくる。

待って……嫌な予感がする。

そして私の胸を揉み始めた。

『ちょっ……!!!』

「うん、かの子先輩が言ってた美乳ってのも分かる。彼氏に揉んでもらってるんすか?」

『彼氏なんていません!!』

私は怒って胸を隠す。

「そうなのですか?私は牛尾様が仮名ちゃんの彼氏かと思っていましたわ」

濡れた髪の毛を上に上げながら、撫子が言った。

かの子ちゃんが目を輝かせる。

「なんですかそれ!先輩の恋バナ聞きたいですっ!こないだ告白された男子はどうなったんですか!?好きな男子はいるんですか!?」

二年の二人はかなり女子っぽい。
今いるのはかの子ちゃんだけだが、それでも私がゲンナリするには十分だった。

こういう話に目がないのだ。

人目につかないように牛尾と帰っていたのに…。

告白されたってのは本当のこと。
違うクラスのサッカー部の三年に告白されたのだが、今は部活に集中したいといって断った。


それをいうと、かの子ちゃんは、きゃーーとはしゃぐ。

好きな男子という言葉に何故か脳裏に従兄弟が浮かんだのは内緒だ。

『私の恋愛トーク聞いて何が楽しいのかなあ?』

呆れながら私は凪ちゃんに同意を求める。

凪ちゃんも同意見のようで困ったように笑う。

「わたしも、そういうの苦手です」

か、可愛い……。

凪ちゃんもモテるだろうなーと思いながら私はふと選手のことを考えた。

『野宿組ってすぐ外にいるんだよね、寒そうだなあ』

「そうですわね、凍えて風邪をひいていなければ良いのですけれど」

撫子はにっこりと笑う。

あなたのその笑顔が怖いのよ。

撫子とかの子ちゃんはもう風呂からあがるようだ。

私もふたりと一緒にあがることにした。



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