隣の○○○
「…おーおー気持ちよさそうに寝てやがる」

酔っぱらって真っ赤になった羊谷遊人は自分が乗っているバスの通路を徘徊していた。

そこで後方の席で寝ている仮名を見つけたのだ。

「牛尾か誰かはコイツの隣が良かったんじゃねーの?」

仮名の席の通路を挟んだ隣にいた人物はビクつく。

それを見逃さない羊谷遊人。

「おお?こんなに近くにいるのに手どころか肩も貸せないのか、チェリーボーイ」

「っ…」

そこへやってくる牛尾。

「監督、あまり選手をいじめないでやってください。猪里くんは仮名のことを思って声をかけなかったのかもしれない」

チェリーボーイと呼ばれた選手、つまり猪里猛臣は顔を真っ赤にした。

牛尾はそんな猪里をチラと眺めて、何かを悟ったように微笑んだ。

「でも、きっと仮名は誰かに隣にいてもらった方が安心するだろうから」

ほら、と猪里を仮名の横へと誘導する牛尾。

猪里は慌てて仮名の横に腰を下ろす。

「…き、キャプテン。ありがとうございますっ」

控えめに呟く猪里をみて牛尾は笑った後、自分の席に戻る。


羊谷遊人もゆっくりと戻ってきた。


「よかったのか?」

「ええ。今回は…ね」



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