私は風呂からあがると、由太郎の部屋へ向かった。
由太郎は先に風呂に入っていたのでタンクトップ姿のまま部屋の中で素振りをしている。
『頑張ってるね』
「あ!ねえちゃん!」
素振りをやめてその場に座り込む由太郎。
私は部屋の中の由太郎のベッドに乗る。
由太郎の部屋のベッドは二段ベッドだ。
小さい頃は魁と共同で使っていた。
しかし魁が大きくなり一人部屋を与えられたために今は由太郎が独り占めしている。
まあこの二段ベッドの下は私が一週間に一度借りてるんだけどね。
「魁は?」
「にいちゃんならベランダじゃねーか?」
カーテンを開けると隣の部屋側のベランダに魁がいるのが見える。
『魁が部長に選ばれるとは思っていたけど、思ったより大変そうね』
「にいちゃんだからできるって!」
私は由太郎の頭を撫でてやる。
「そうだね」
ベランダから顔を出し魁を呼ぶ。
『魁ー話そうよー』
「そーだぞ!せっかくねえちゃんが来てんだから」
魁は驚いた顔をすると由太郎の部屋の中に入ってくる。
「どうした」
『魁ちゃんが部長になったお祝いー』
私は魁の頭を撫でた。
「なーんてね!」
「ずりーよ、にいちゃん!俺も俺も!」
由太郎に、さっきやったでしょ!と言いながらふと魁を見る。
「…っ」
『え』
顔を真っ赤にしていた。
まさかこんな反応が返ってくるとは。
『か、魁?』
「ね、寝る。朝が早いのだから仮名と由太郎も早く寝るのだぞ」
由太郎は部屋から出て行く魁を驚いて見つめた。
「ねえちゃん。にいちゃんどうしたんだ?」
『…さ、さあ』
明日は早朝から合宿。
魁の言葉でそれを思い出した私は少し火照っている自分の頬を抑えながら布団に潜り込んだ。
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