従兄弟
一年生が入部して数日が過ぎた。


遊人おじさん、もとい監督は部活の終わりに合宿について私たちに話した。

場所は伊豆。

伊豆といえば温泉だよね!!

思ったよりいいチョイスをしてくれた監督に不安を抱きながらも、今日の日誌を書く。

「仮名、もう帰るかい?」

『うん、御門も着替え終わったんだね』

じゃあ行こうか、と笑顔の御門。

いつも御門と学校に来て、帰りも一緒だ。

しかし、週末だけは違った。


『じゃあよろしくね』

ニルギリさんの先導の元、車に乗り込む私と御門。

向かった先は御門に似つかわしくない庶民的なスーパー。

「本当にここまででいいのかい」

不安そうに窓から顔を覗かせる御門に笑いかける。

『食材買わないとだし、ここから歩いて10分ほどだから』

「そうか、ではキミの従兄弟によろしく伝えてくれ」

そう。

週末は従兄弟の家で食事をつくり、そこに泊まっているのだ。

そのために御門には近くのスーパーまで送ってもらっている。

まあ下宿先からの一時帰宅みたいなものかな?


食材を手早く選び、会計を済ませる。

今日は豚の生姜焼きと大根サラダだ。

ご飯と吸い物はおばさんが用意してくれている。

私がつくるのはメインディッシュとサイドのみ。

エコバッグにつめた食材を持つと、家へと歩き始めた。


私には従兄弟が二人いる。

一人は何でも食べるのだが、もう一人は基本的に和食を好む。

別に洋食を食べないわけじゃないんだけど…。

だから豚の生姜焼きはセーフだと思う。



10分弱で従兄弟の家につく。

ここから従兄弟の高校は近いので、もう帰ってきているだろう。

おじさんはまだかもしれないが。


チャイムを押し、ピンポーンという音が微かに聞こえる。

すると同時に二階からドドドという音が聞こえてきて、ドアの鍵が開けられる。

「あ!仮名ねーちゃん!!!」

ぴょんという効果音がしそうな雰囲気で飛び出してきた従兄弟の弟の方、由太郎。

「久しいな」

ゆっくりと階段から下りてきたのは従兄弟の兄の方、魁。


『二人とも、元気だった?』


私は顔が自然とほころぶのが分かった。


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bkm



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