■ 杖選び
スネイプ教授が入ったのは多くの箱が棚に所せましと並べられている店。
『スネイプ教授、ここは?』
「お前の杖を選びに来たのだ」
なるほど、ここにあるすべての箱の中に杖があるのだろう。
奥から一人の老人がやってきた。
スネイプ教授はその老人を見るとすぐに店から出てゆく。
慌てる私を他所に、スネイプ教授はさっさとどこかへ行ってしまった。
「なにかお探しかな?お嬢さん」
『えーっと、杖が欲しいんですけど』
袋を近くのテーブルの上に置き、老人に話しかける。
「ほほう、このオリバンダーの店を選んでくださってありがとうございます。必ずあなたにあった杖が見つかるでしょう」
そういうと老人、オリバンダーは奥に入っていった。
どうやら利き杖があるようだ。
オリバンダーは奥のほうから墨色の箱に入った杖を持ってきた。
「これはドラゴンの心臓の琴線に樫の木、しなりやすい」
杖を渡される。
『これを、どうすれば?』
「振ってみなされ」
なるほどなるほど、振ればいいのか。
手を軽く動かすと、棚にかかっていたはしごが音を立てて滑り落ちた。
『あ』
「これは違うようじゃな」
オリバンダーはまた別の箱を持ってくる。
色は鈍色。
「これはユニコーンの尾の毛、白樺の木、頑丈」
私は軽く振る。
先ほど落ちたはしごが踊り出した。
そして棚をなぎ倒していく。
『と、止まってー!』
「これも違うようじゃな」
オリバンダーは軽く杖を降ると、はしごは元の場所に、箱も元の場所に収まった。
魔法ってすごい。
改めてそう思った。
しかし、一個だけ戻らない箱がある。
褐色のその箱をオリバンダーは拾い上げる。
「これを忘れておったな」
オリバンダーはその箱を開ける。
中から出てきたのはなにかの角のように軽く巻いた杖。
「ユニコーンの尾の毛にリンゴの木、忠誠心がある」
私は杖を受け取るとすぐに振る。
するとその杖先から光の鳥や馬が飛び出し、部屋中を飛びまわる。
「素晴らしい!この杖は動物と心を通わせる者に合う杖じゃ。大切にするといい」
杖の値段は7ガリオンらしい。
どれがどの硬貨か分からないので、正直にそのことを言い袋を手渡す。
オリバンダーは丁寧に説明をしてくれた。
金貨がガリオン、銀貨がシックル、銅貨がクヌートらしい。
17シックルで1ガリオン、29クヌートで1シックル。
とりあえず色と単位は覚えることが出来た。
オリバンダーにお礼を言うと、私は袋を持って店を出た。
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