■ 居候

魔法界のことを学ぶ事は容易ではない。

ここ数日で私が感じたことだった。

突然やってきた私をここに住まわせてもらえるのはありがたい。

だけど……。

『スネイプ教授、無理です!』

「無理ではない、詰め込め」

そう。私の年齢は13歳。

この歳でホグワーツに入れられることとなった私は、2年のブランクがあるのだ。

魔法のまの字もわからないのに、教科書を読めだなんてふざけてる。

数日がたち、スネイプ教授とも仲良くなったと思っている。

それなのにこの仕打ちは変わらない。

スネイプ教授はずっと部屋に篭って鍋をかき混ぜているだけだし、部屋の中は臭いし暗いし。

私は山積みの教科書を読むだけ。

こんなにつまらないことはない。

机に突っ伏して、教科書を伏せる。

ばしっと教科書で頭が叩かれる。

これももう慣れてしまった。

「我輩がつきっきりで指導してやっているというのに、そのやる気のなさはなんだ」

『モチベーションの維持が大事って知ってます!?』

必死の形相でいうと、スネイプ教授は舌打ちをする。

「少し待っていろ」

そういうとスネイプ教授は部屋を出ていく。

部屋の外の空気を部屋に入れたのは何日ぶりだろう。

それほどに私たちは部屋から出ていない。

しばらくすると部屋から帰ってきたスネイプ教授。

その手には袋が握られていた。

「立て」

『えっ、ちょっ』

「“ダイアゴン横丁”」

そう叫んで粉を暖炉に投げ入れるスネイプ教授。

私は背中を押され、その煌々と燃え盛る緑色の炎に頭を突っ込んだ。

これ、大やけど決定。

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