■ 厨房探検

スネイプ教授の部屋は地下1階。

その石段を登り、玄関ホールに出て大広間に向かう。

そこから出て右側の扉の先には教授の言っていたように石段が続いている。

すこし歩くと、大量に樽が積んである場所がある。

中には何が入っているのだろう。

不思議に思いながらもそこを通り過ぎる。

しばらく歩くと果物の絵を見つけた。

銀色の皿に色とりどりの果物があり、そこにはぽつんと緑色の梨もある。

それをくすぐるとすぐに梨が緑色の取っ手に変わる。

この先がきっと厨房。

どんな風になっているのだろう。

私は大広間での食事をしたことが無い。

どれほどの規模なのだろう。

恐る恐る入ると。

『うわあ!』

中はとても広い。

大広間ほどの広さだ。

奥にテーブルがあり、その横には暖炉と丸椅子。

入ってすぐに真鍮で出来た大鍋やフライパンが積み重なってある。

中にいるのは小人、妖精?

一人がこちらに気づき、近寄ってくる。

キーキーと金切り声だが、いつもきいているスネイプ教授の声と違うだけでかなり新鮮だった。

「おや生徒ですか!なにかご入用ですか?」

目はテニスボールほどだろうか。
大きな口と大きな耳。

『スネイプ教授に言われて来たんですけど、なにか軽食を貰えますか?』

「生徒が私どもに敬語を使ってはなりません!」

キーキーと耳に響く。

私は慌てて謝る。

すると謝っても怒られた。

どうしろと。

『それじゃあ、軽食ちょうだい!』

「分かりました!ご用意いたしますのでこちらでお待ちください!」

妖精は私の手を引き、暖炉のそばへ。

丸椅子に座らせると他の妖精が英国調のティーセットを運んできた。

マフィンやスコーン、いい香りのする紅茶。

全てが美味しそうで。

『食べていいの?』

「もちろんですとも!」

軽食ってこのことなんだろうか。

持ち帰りがしたいんだけどな。

それをぼそりと言うと、妖精達は分かっていますとも!と一斉に頷く。

「なにか食べたいものはございますか?」

食べたいもの……スネイプ教授は何を食べたいんだろうか。

私はずっと英国料理なので、少しは変わったものが食べたいんだけど。

『梅干おにぎりなんて、できる?』

「はいっ!できますとも!!」

命令されるのが嬉しいのか、妖精は飛び跳ねるようにして応える。

『あと、サンドイッチがいいな』

妖精は厨房内をせわしなく動き回る。

私は呆気にとられながら紅茶をすする。

スコーンを食べるとほのかなバターの香りが口いっぱい広がる。

美味しいなあ。

イギリス料理はまずいって聞くけど、ものによっては美味しいんだよね!

しばらくするとバスケットいっぱいの食料をつめて妖精が戻ってきた。

『ありがとう、えっと』

「シェルビーと申します生徒さん!」

『ありがとうね、シェルビー。私はユウリ』

「生徒がありがとうなどと!」

またも金切り声をあげ始めたので、私は苦笑いをしながら出てゆく。

これでスネイプ教授も喜んでくれるだろう。


帰り際に西塔に登ってゴロスケに会いにゆく。

ゴロスケは手紙をくわえていて、それを受け取ると嬉しそうにホッホと鳴いた。

セドリックからご飯をもらったのだろう。
ねだってくることは無い。

私は手を振り、西塔の階段を下りた。

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