■ 暴君スネイプ教授
杖を買ってからというもの、私はスネイプ教授からスパルタ教育を受けていた。
2年分の学習内容を詰め込むのだ。
当然だ。
加えて数日後には新学期が始まる。
『それにしても、だよね』
私はセドリックとの文通が心の癒しになっていた。
セドリックは色々なことを教えてくれる。
最初は向こうから送ってきた。
次はこちらから。
一日おきではあるが、セドリックはかかさず手紙を送ってくれる。
なんだか嬉しいな。
こっちの世界の初めての同世代の友達だ。
「何をニヤニヤしている」
『なんでもないですよー』
「気色悪いぞ」
『失礼ですよ!?』
魔法会の常識こそ身についていないが、魔法の腕、魔法薬学の腕はかなり上達したと思う。
特に魔法薬学だ。
スネイプ教授の担当教科であるのだから当然といえば当然か。
私の愛読書はもっぱら幻の動物とその生息地。
かなり楽しい。
河童が書かれていることにはかなり驚いたが。
ホグワーツの湖には水中人がいるということだったので、もしかして話せるのではないか。
「水中人はなかなか相容れない。ダンブルドア校長は魔法生物からも尊敬を受けるほどの方だ。そのために危害を加えられることは無いが」
スネイプ教授が私の読んでいるページを見て話しかけてきた。
『そうなんですか…』
残念だなぁ。
私は日中はスネイプ教授の研究室で勉強、夜は地下の物置を片付けた部屋で寝ることになっている。
物置といってもかなり広く、十分に寝れる広さ。
だだ勉強するには狭いというほどだ。
西塔のふくろう小屋に行こうと思い、席を立つとスネイプ教授から呼び止められた。
「今日は食事をもってこい」
『えっ、どこから』
「厨房だ」
どうやらスネイプ教授がいつも持ってくる軽食は厨房から持ってきているものらしい。
『厨房はどこなんですか?』
「一度しか言わないからよく聞け」
大広間を出て向かって右側のドアを開け、石段を下りると、松明に照らされた広い石の廊下に繋がっている。廊下に掛かる、巨大な銀の器に果物を盛った絵の中の緑色の梨をくすぐると、この梨が緑色のドアの取っ手に変わる。ドアを開けた先が天井の高い巨大な部屋の厨房。
……長い。
『えっと、大広間から出て向かって右の扉の石段の下、果物の絵の梨をくすぐる。その先?』
「そういうことだ」
さあ、いけ。
と部屋から追い出される。
そんな横暴な!
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