■ やってはいけないこと

スネイプ教授が私の手を掴む。

初めて手を握られたことで少しどきりとするが、その真剣な表情に何事かと不安になった。

ゴロスケは先にホグワーツへ帰ってもらった。


入ったのは魔法生物が多く居る店。

もちろん猫やヒキガエル、コウモリなどもいる。

奥には水槽があり、中には蛇や見たことがない生き物。

きっと魔法生物なのだろう。

「店主、蛇を出してもらえるか」

怪しい風貌の店主は水槽の中から太い蛇を取り出した。

「へえ、毒はありませんが、大型のものです。気をつけてくださいまし」

スネイプ教授はその蛇を受け取ると私の前に差し出す。

『あの、教授?いったいなにを』

蛇が嬉しそうに鎌首をもたげてくる。

そして私の腕に絡みつく。

その冷たくひんやりとした感覚に変な声が出そうになる。

『ひっ』

「……」

スネイプ教授は黙っている。

すると、耳元でシューシューと聞こえてきた。

蛇の鳴き声だろうか。

「“嬢ちゃん、俺っちが重くないかい?”」

急に変な声が聞こえてきた。

『えっ、教授何か言いました?』

「なにも」

なおも不思議な声が耳元に響く。

「“この水槽狭いんだ、飽き飽きしてるんだよ、俺っち”」

『…もしかして、きみが喋ってる?』

蛇を見つめると、嬉しそうに擦り寄ってくる。

蛇と話すなんて初めてだ。

「“俺っちを嬢ちゃんが連れていってくれれば嬉しいんだけどなぁ、どうだい?”」

『“それは難しいかなあ。時々会いに来るんじゃダメかな”』

蛇はしゅるしゅると店主の元に戻っていく。

「“約束だぜ嬢ちゃん!”」

蛇の重みがすっかりと無くなった。

スネイプ教授は私を黙って見つめる。

店主も黙っている。

スネイプ教授は店主にいくらかの金貨を握らせると私を連れて暖炉へ急いだ。

『教授!いったいどうしたんですか』

ホグワーツ、と低い声が聞こえ、私はまた暖炉の炎の中に押し込まれる形となった。

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