■ ふくろう

「遅かったではないか。男でもできたか」

開口早々に嫌味が飛んでくる。

どうやら外から見えていたようだ。

『そ、そんなことないです』

どうだか、と呟きスネイプ教授は足早に歩き出す。

『次はどこに行くんです?』

スネイプ教授は暖炉の方向に向かっている。
もしやもう帰るのだろうか。

もう少しここにいたい。

『教授、あの店が見たいんですけど』

指さす先にはふくろう専門店。

スネイプ教授は軽くため息をつくと頷いた。

どうやら折れてくれたようだ。


「ふくろうでもかって、文通でもしたいのだろう」

悟られてしまった。
私は正直に肯定する。

動物に好かれる体質なのか、店に入った瞬間にすべてのふくろうが私のほうを向く。

ここまで見つめられると恥ずかしくなってしまう。

『みんな可愛いね』

そういうとそこにいたふくろうたちは嬉しそうにさえずる。

一斉にさえずると少しうるさい。

店主も驚いてこちらへやってきた。

「皆きみを見ているようだね。どの子がお気に入りだい?」

「日本にもいる種って、いますか?」

店主は奥の方から中型のふくろうを乗せてくる。

そのふくろうは私を見るやいなやこちらへ飛んできた。

「この子はオスで人馴れしないんだが、やはりきみには懐くようだね」

『この子、目が可愛いですね』

ゴロスケホッホと嬉しそうな声を出す。

『うん、この子にしよう』

ふくろうの種類はモリフクロウ。
日本でふくろうといえば、この種らしい。

「ありがとう、5ガリオンだよ。ふくろうセットも買うかい?」

ふくろうセットとはふくろうフーズ、伝書セット、お手入れ道具などが入っているものらしい。

それも購入することにした。

全部で8ガリオン。
安いか高いか、未だに感覚がつかめない。

払い終わって店主にお礼を言いながら外に出ると、後ろからさらに不機嫌そうなスネイプ教授が出てきた。

「お前は動物に好かれるのか」

『みたいですね。こんな仕事に就くのも悪くないかもです』

腕に乗っているふくろうは嬉しそうに私の髪を啄んでいる。

『名前はゴロスケだよ、よろしくね』

ゴロスケとよばれたふくろうは嬉しそうにゴロスケホッホと鳴く。

安易な名前などと言わないで欲しい。

「……気になることがある。ついてこい」

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