■ 兄弟、白の三男を眺める
長い廊下を歩く私達の目には大きな庭が見える。
その庭には青龍偃月刀を振り回す白龍。
『頑張ってるねー白龍。あ、先に行っててよ三人とも』
「はいはい。行きましょうか、えっと」
シャプールは再度自己紹介をする。
先程のように堅苦しくはない。
「シャプールとイスファーンと申します」
「そうそう、シャプールとイスファーン、行きましょう。アスラが自由なのはいつものことですから」
兄弟は心配そうに私を見上げるが、私は大丈夫大丈夫と言って先を急がせた。
三人が行ってしまってから、私は庭に下りる。
一心不乱に青龍偃月刀を振る白龍はまだこちらに気づかない。
熱心だよねー。
私は剣を抜く。
そして背後から斬りかかった。
すぐに受け止め偃月刀の柄を両手で持ち、白龍はこちらを見た。
「アスラ、何のようですか」
『白龍は未だに敬語が抜けないね』
上段切り下段切りと連撃をしながら話す。
「練紅炎…兄様と仲良くしている輩と話すことはありませんよ」
私はため息をつきながらさらに攻撃の手を早める。
『同じ練家だから、私は君の家臣でもあるんだよ。だから仲良くして欲しいな』
白龍は受けるだけで、こちらに反撃しようとはしない。
「誰が仲良くするか」
ぎっとこちらを睨む白龍。
反撃をしてくる。
うーん、やっぱり白龍って危険だよね。
少しそんなことを思いながら、白龍の刀を受ける。
「特にあなたは何を考えているのか分かりません。王族に仕えていながら敬語を話さない。本当に仕えているのですか」
『ああ、それは私の頭が悪いからであって深い意味は無いよ』
けらけらと笑うと白龍は反撃をやめた。
「もういいです。行ってください。用事があったのではないのですか?」
私は紅炎の事を思い出す。
『そうだった。完全に忘れていた』
「バカですか」
『バカで悪いね』
それじゃあと急いで廊下へ戻る。
「なんなんだよ、あいつ」
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