■ こんにちは、双剣将軍
ダリューンに話そうとした時だった。
もう出るぞ、との声が聞こえ、私達はそのまま馬を走らせた。
ファランギースに言うタイミングを失い、私は馬を駆る。
ペシャワールまであと2kmもない。
深い渓谷を直進することは難しい。
私が運べば一瞬なのだが、それは人目に付く。
下に降りて、流れが緩やかなところを渡ろうとした時だった。
伏兵がでてくる。
エラムとアルフリード、アルスラーンを守るように私達五人は戦った。
ダリューンが敵の何者かと話している。
知り合いなのだろうか。
その男を追ってダリューンはその場を離脱しようとするが、それはアルスラーンからダリューンを遠ざけるための男の策であった。
ダリューンはその意図に気づくとすぐに踵を返す。
アルスラーンが狙われた。
ダリューンは一騎を倒すが、その逆側から別の一騎。
アルスラーンに振り下ろされる剣。
間に合わない。
そのときだった。
鷹が一羽急降下し、その一騎の男を襲ったのだ。
「アズライール!!」
アルスラーンは叫ぶ。
どうやら知り顔らしい。
「みんな、キシュワードがそばにいる。援軍を連れてきてくれるぞ!」
それで私達五人の士気は上がった。
敵兵が油断したところを剣で薙ぎ払う。
そして、崖上には多くの馬の影。
キシュワードが来てくれたのだ。
「王太子殿下を守りまいらせよ!全軍突撃(ヤシャスィーン)!!」
その声とともに五千はあろう騎馬隊が尾根を駆け下りる。
敵は逃げるしかなかった。
キシュワードであろうらしき男がアルスラーンの近くによる。
双剣を背にしていることから、双剣将軍キシュワードであることは明白だった。
そしてやっと私達は東の城壁、ペシャワール城塞へたどり着いたのだ。
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