■ 弓を、教えてくれるかな

ウサギを届けると皆は喜んでくれた。

新鮮なウサギをすぐに捌いて肉と他に分けるが、ウサギは肉が少ない。

「アスラ、なにか落ち込んでいるのか」

エラムが嬉しそうにウサギの肉を受け取りに来る。

しかし私の表情を見て、心配そうにこちらを見てきた。

『え、いや、なんていうか』

私は弓に矢を番え、少し遠くの木を狙って放った。

矢はひゅるひゅると手前の木すら越えない。

見ていたギーヴは吹き出した。

エラムも笑いをこらえている。

『鹿、仕留められなくて』

「そりゃそうだろ!!」

箍が外れたように笑い出すギーヴ。

「アスラ、何事にも得意不得意があるのだ」

諭すようなナルサスも笑いを堪えるのに必死だ。

『いいよいいよ、私には眷属器があるし』

眷属器……?そうだヴィネアの簪を変形出来ないだろうか。

そして水の矢を飛ばすのだ。

我ながら良い考えだと思う。

『エラム、私に弓を教えて欲しい』

エラムは驚くがすぐに頷く。

「俺でいいのなら」

『君がいいんだよ。短剣も使えるしね』

エラムは嬉しそうに微笑む。

ギーヴが割り込んでくる。

「俺も弓は使えるぞ!困ったらすぐに、痛い!痛いぞファランギース殿!!」

「お主、邪魔じゃ。二人の語らいを邪魔するでない」

「え、語らい!?語らいって、待ってファランギース殿痛い!」

ファランギースがギーヴの耳をつかみ引っ張る。

私の気持ちを汲んでくれたようだ。

『ごめんねギーヴ。君にも色々聞きたいことがあるからさ、またよろしくね』


私とエラムは食事の準備をし始める。

私も食事は作れるほうなので、ウサギの肉を炙り焼きにし、取ってきた香草に包み再度焼く。

塩で軽く味付けをすれば完成だ。

パンのようなもの、木の実を煎ったもの、ウサギの肉の香草焼きなど、かなり豪華だ。

私はパンに齧り付く。

とてもお腹が空いていたのだ。

それをみてダリューンはようやくだな!と笑った。

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