■ 睡眠薬は、危険な香り

ファランギースと二人で部屋に戻る。

動きやすい旅の服をホディールの侍女が用意してくれたことで、動きやすくなった。

着替え終わり、深呼吸をする。

なんだか眠たくなってきた。

寝台にダイブしようと思った時だった。

鼻に違和感を覚える。

『……ファランギース、ホディールが裏切ることってあるかな』

私は屋根裏に飛び上がる。

梁の上にはやはり。

「睡眠薬か」

下からファランギースの声が聞こえる。

私は頷いた。

飛び降りて、すぐに窓を開ける。

「大丈夫、まだそこまで回っていないようじゃ」

良かった、と安堵のため息をついた。

『アルスラーンは大丈夫かな』

「おそらく心配すべきはナルサス殿らだな」

私とファランギースは顔を見合わせる。

『行ってくるよ、ナルサス達のところに』

ファランギースは頷く。

私は窓を伝って下の部屋、つまりナルサス、ギーヴ、ダリューン、エラムのいる部屋へと降りた。

窓がしまっていたので軽くこんこんと叩くと、中からエラムが窓を開く。

「アスラ!どうしたんだ」

私に驚くナルサス。

窓の方にかけよってくる。

『ナルサス、梁の上を確認していいかな』

そういうとナルサスの返事を聞くことなくさきほどのように飛び上がる。

そこにあったのはやはり睡眠薬。

それを持って降りる。

「!」

「睡眠薬だな」

軽く匂いを嗅ぎにやりと笑うナルサス。

ギーヴは目を見開いて驚いている。

『私の鼻が効いて良かったよね』

「ああ。さすがファナリスだな」

ダリューンは嬉しそうに笑う。

私は笑い返すとナルサスの方を見た。

『アルスラーンのところにもあったら危険だよ。どうするのかな』

ナルサスはギーヴを見る。

「ここで身軽なのはギーヴだ。お願いできるか」

ギーヴはにやりと笑うと窓に手をかける。

『私はどうしようか』

「ファランギースと共に出立の用意を。合図が出次第ここを立つ。睡眠薬を仕向けてきた輩に遠慮する必要は無い」

ナルサスの返答を聞き頷く。

『準備ができてギーヴが苦労してたら私もアルスラーンの元へ行くよ。心配だからね』

そういってギーヴと共に窓から出る。

エラムと目が合う。

「アスラ、無理をしないでくれ。ホディールの部下に見つからないようにな」

エラムの心配そうな顔を、見てくすりと笑みがこぼれる。

『分かってるよエラム。心配してくれてありがとう』

そして私と詐欺師は窓を伝って別の場所へ移動した。

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