■ 兄弟、元気かい

『頑張ってるね、白龍』

武道場には鍛錬に励む白龍。

武道場には久しぶりに来た。

治るまで紅明が許してくれなかったのだ。

「アスラ、治ったのか」

シャプールがいなくなって白龍も落ち込んでいたらしい。

弟みたいなものだったもんね。

『完全じゃないけどね、ある程度は』

「そうか」

白龍なりに心配してくれたらしい。

少し嬉しいなあ。


私は鍛錬のために紅覇の眷属器を発動させた。

超人的な動きのファナリスの筋肉のリミッターを外すことが出来る。

一人でひたすら鍛錬をする。

いつまで持続させることが出来るかを試すためだ。

同時にアシュタロスを発動できるだろうか。

構えていた剣を発動させようとする。

『うわっ』

急にレラージュが解けた。

もちろんアシュタロスは発動しない。

『レラージュ発動時は他の眷属器が使えないんだね』

よくよく考えれば浮気者の私に力を貸してくれただけありがたい。

以前アシュタロスとヴィネアを発動させた時は上手くいった。

使い方が分からなかったため、すぐに解いてしまったんだけど。

炎と水ってどう融合させたらいいんだろう。

あとはアガレスとアシュタロスだけど、おそらくこれは相性がいい。

紅炎がそんなことを言っていた気がする。

白瑛とはあまり親しくないので、パイモンの力を借りることはなさそうだ。

白龍もまだ攻略者になってないし。

ふうと息をつき、剣をしまう。

『とりあえずレラージュは他の眷属器が嫌い、と』

それだけ分かればいいや、と思い白龍に話しかける。

『白龍は攻略しないのかな』

「俺はまだ未熟だ」

だからまだ攻略しない、と暗に言われた。

『白龍が攻略者になったら私も眷属になれるかな』

白龍は手を止める。

「嫌だ」

『うーん、やっぱり』

私はけらけらと笑うとその武道場をあとにした。


廊下をしばらく歩くと紅玉が夏黄文とともにこちらに歩いてくるのが見える。

紅玉にあうのはかなり久々だ。

兄弟も会わせたことがない。

「あらぁアスラちゃん!」

嬉しそうにこちらへ近寄ってくる紅玉。

夏黄文は嫌そうな顔をするが、眷属となったあとはそこまで突っかかってくることは無い。

『久しぶり紅玉』

「兄様方からアスラちゃんが怪我をしたと聞いて心配してたのよぉ」

わたわたとこちらに話しかける紅玉は本当に可愛い。

お姫様と言ってふさわしい。

ヴィネアを扱っている時は少し怖いけど。

『大丈夫だって、もうほぼ治ったからね』

「兄様と私以外の眷属にもなったとか」

紅玉は不安そうに言った。

「ああ、紅覇のレラージュと紅炎のアガレスだね」

ほら、と剣の装飾と左の腕輪を見せる。

「やっぱりアスラはすごいですわぁ」

うふふと頬を染める紅玉。

『練家を守るためだよ、強くなって絶対に皆を守るからさ』

じゃあね、と私は紅玉から離れた。

「奴め、馴れ馴れしくしおって」

「夏黄文、そんなこと言わないで」

「ところで奴めは何かあったのでしょうか。少し雰囲気が変わっていました」

「そうねぇ…」

「紅玉様!何故頬を染めていらっしゃるのですか!!」

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