■ 兄弟、修行しよう

紅炎に許しをもらい、客室に寝泊まりすることとなったシャプールとイスファーンは侍女を一人つけてもらえることとなった。

その侍女には戦で拾った異国の子だと伝えてある。

もちろん王宮内で行動する際は私と一緒だ。

玉艶には見つかりたくはないし。

この日からシャプールは私にさらに懐いた様だった。

ちなみにシャプールは今17歳、私とは8歳離れている。

聞くとイスファーンは3歳でシャプールとは14歳差だという。


武道場へと向かう途中、紅覇に会った。

「アスラじゃん、僕の眷属になる気は起こった?」

『紅覇おはよ、レラージュは私を認めるかな』

おはよーと笑顔を見せる紅覇。

後ろにいた兄弟を見ると目を細めた。

「異国の子だっけ。アスラがつれてるなんて変わってるね」

『同じ拾われた身としてはね』

自虐的にそういうとごめんね、と紅覇は謝る。

「アスラにそんなこと言ってもらいたかったんじゃないんだ」

『やきもち焼いてくれたのかな』

紅覇は顔を赤くさせる。

「うるさい!!さっさと行っちゃえ!」

如意練刀を振り回す紅覇から逃げるために兄弟を抱える。

いつも紅覇をいじめてしまうのは、やはり弟のようだからだろうか。

紅覇も私が紅炎のお気に入りだと知っているからか、強くは当たってこない。

私は武道場まで跳んだ。

イスファーンはもう慣れたようできゃっきゃと笑っている。

近くに降り立った私達は武道場へ向かう。

もちろん二人は下ろした。

武道場に入ると案の定白龍がいた。

「あの男、昨日見たな」

『うん、この国の第四皇子、白龍だよ』

私は立てかけてある木剣をシャプールに渡す。

そして私も木剣を持った。

『さあ来い』

シャプールはふぅっと息を吐くと打ち込んでくる。

素早い動きだ。

上下中中上下中

連撃が緩やかになる。

反撃だ。

シャプールはどんどん押されていく。

かぁんという音とともにシャプールの手から剣が飛ぶ。

『まだ私と剣を交えるほどじゃないよね』

不敵に笑ってそういうとシャプールは睨む。

そのまま30分ほど打ち合う。

終わった時シャプールは肩で息をしていた。

いつの間にか白龍がこの打ち合いを見ていたようだ。

「兄王様から聞きました。この子達が異国の子ですか」

『そうだよー。可愛い子達だろう』

剣だけならば白龍よりは強いと思う。

白龍は青龍偃月刀を壁に立てかける。

「紅炎兄様しか見ていないかと思った」

敬語が取れる。
私は驚いて白龍を見た。

『どうしたの』

「別に、こんな子供たちとも接するんだなと思っただけだ」

嬉しさを顔に出す。

「勘違いするなよ!心を許したわけじゃない」

白龍がシャプールとイスファーンを見つめる。

そんな目を見たことがない。

『ああ、そっか』

白龍と近い年齢の子供が王族専用の武道場で剣を振る様子を初めて見たのか。

『この子達はシャプールとイスファーン。17歳と3歳だから、仲良くしてあげてくれたらいいな』

「してやらんこともない」

白龍の言葉に思わず笑みがこぼれる。

この皇子は素直じゃない。





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