■ 避暑のススメ
『マツバさーん』
ぐたりと僕の背中にもたれかかってくるのは、僕の恋人兼トレーナーである○○。
○○はモンスターボール印のうちわを片手にパタパタと風を送っている。
「暑いよ、○○」
『暑いからどうにかしてー!』
○○が持っているポケモンに水タイプと氷タイプはいない。
○○は炎と格闘を愛するトレーナーなので、パートナーたちと触れ合うことすらできないのだ。
「仕方ないなぁ」
僕はモンスターボールからゴースを出した。
ゴースはきょとんとした顔で僕らを見比べている。
『あ!ゴース!久しぶりだね』
ゴースは嬉しそうに○○に擦り寄ってくる。
『うーん、やっぱりゴーストタイプの近くにいると寒気がするね』
それでいいのか。
○○のセリフに僕とゴースは顔を見合わせた。
『うん、やっぱりヤナギさんのジムに行ってくる!』
すっくと立ち上がった○○。
ゴースは慌てて○○から離れて僕の肩へ。
「ジムをくつろぎの場にしないでくれよ」
僕は笑った。
『挑戦するっていえばヤナギさんも許してくれるもんね!』
○○はニコリと笑い、自分のモンスターボールからフワライドを出す。
このフワライドは僕がフワンテの卵を孵して、それを○○のガーディと交換したのだ。
「やあフワライド、元気かい」
フワライドは嬉しそうに僕に擦り寄ってくる。
ゴースが少し嫉妬していた。
『さあフワライド、ヤナギさんのとこに行こう!』
○○はフワライドに乗ると、そらをとぶでチョウジタウンへと飛び立ってしまった。
「元気な恋人を持つと、大変だねゴース」
ゴースはまったくだと言うように、僕を見て頷いた。
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