としたんさんリクエスト

受けの名前は勇(いさみ)くんです。

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「あ゙ぁあ゙ーマジ辛い゙ー」



高級そうなソファーに座ったまま仰け反る。
身体の痣が痛かったが、今は身体を伸ばしたい気分だった。


最近やって来た転校生はとんでもない奴だった。理事長の甥という事を盾に好き勝手やった結果、何故か親衛隊持ちの美形共に周りが引くほど好かれた。
怒り狂う親衛隊、いつの間にか転校生に友達認定される俺、俺を排除しようと奮闘する美形、鬱憤が溜まっているため便乗する親衛隊、俺、超可哀想じゃね?
そんなわけで、生傷の絶えない生活を送る俺を哀れに思ったのはクラスメイトでも先生でもない、転校生の伯父。

理事長だった。



「大丈夫?あの子のせいで怪我したんじゃ…」

「…あー……大丈夫ですよ、心配は無用っす」



理事長には生徒会から受けている暴力については言っていない。
だってさ。



「あの生徒会とかになんかされたらすぐに言ってね?アイツ等すぐにリコールさせるから」

「………はい」



こんな、冗談に聞こえない事を言うんだもの。
流石にね、リコールとかは可哀想だと思うんだ、俺。それに、こうやって理事長室でする会話は楽しいから、ちょっと位の痛みは我慢できる気がするんだ。
二人でほのぼのとお茶をすすっていれば、扉を叩く凄まじい音が聞こえた。
理事長の精悍な顔が曇る。理事長は俺をおっきい机の下に隠すと、未だに激しい音を立てる扉の鍵を開ける。するとすぐにバン!と音を立てて扉が開いた。



「勇!居るんだろ!出てこいよ!」



因みに勇とは俺の事だ。この声は完全に転校生で、酷く怒っているように聞こえる。



「…ひかり、ここに勇くんは居ないよ」

「嘘だ!!勇!!伯父さんに漬け込むなんて最低なんだぞ!早く出てこいよ!!今なら許してやるぞ!!」

「流石ひかりは優しいですね」

「ああ、流石ひかりだ」



理事長の声を遮るように喚き散らす転校生をよくわかないが誉める副会長と会長らしき声。
こっそり理事長がいる方を覗けば、生徒会役員全員と転校生がぞろぞろと立っていた。かなりの大所帯だ。



「ひかり。いい加減にしなさい」



怒気を含んだ理事長の声に、一瞬転校生が怯む。が、すぐに調子を取り戻した転校生は再び喚き始めた。



「なんで勇の味方するんだよ!!伯父さんも勇も最低だ!!」

「おい!出てきやがれ平凡野郎!」



ガン!と、会長が俺の隠れている机を蹴った。ガツン、と肩に当たるが、声を出さないように頑張った。
それにしても、会長はここが理事長室だという事を忘れていないか?こんな立派で高そうな机を蹴るなんて、信じられない。
全く違うところに憤りを感じていれば、再びバン!と机が激しい音を立てる。



「いい加減にしろ、と言ったはずだ」



どうやら机を叩いたのは理事長らしい。
いつもとは全く違う、強い口調。俺は少し肩を震わせた。
それは転校生も生徒会も同じなようで、シン、と部屋が静まり返った。



「ひかり、勇くんに関わるのを止めろ。それが出来ないなら学園を出ていってもらう」

「そんな…!」

「生徒会も、これ以上仕事をしないのならそれなりの対処も考えているからな」

「っ……」



理事長の静かな声に、皆一様に黙ってしまった。
暫くの沈黙の後、複数の足音が部屋から出ていく音がした。
理事長に呼ばれ、俺は恐る恐る机の下から出た。



「ごめんね、怖かったよね」

「だ、大丈夫です。でも…いいんですか…あんな言い方…」

「いいんだよ、勇くんは気にしないで」

「…………」



理事長はそう言ってくれたが、やはり気がかりだ。甥である転校生が邪険に扱われ、赤の他人である俺が庇われるのはどうなのだろう。
なんだか俯いていたら、理事長が俺を腕の中に閉じ込めた。



「大丈夫。君は何も心配しないで…僕が味方だからね」

「……はい」



俺は理事長の腕を握りしめた。



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平凡くんを守る理事長を書いてみました!理事長が腹黒そうになってしまいました
それから、更新を楽しみにしてくれてありがとうございます(^O^)
では、企画参加及び、リクエストありがとうございました!




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