「あーあ、椎名フラれたねー。杉田、俺と付き合うのが賢明だもんね?」



高笑いをしながら、吉國が俺の肩を抱いた。ガタガタ、と音をたてて、椅子から滑り落ちながら俺は吉國と距離を取った。そして、床と尻を着けたまま俺は二人を見上げる。

吉國の無い表情と、椎名の微笑。

どれを取っても、俺からすれば全て不安材料だ。



「吉國ー、お前スゲー嫌われてんのな。正巳、ほらこっちおいで」

「…ちょっとビックリしただけだよねぇ、杉田。椎名なんて放っておいて、俺のところ来な?」



……どちらに行っても、嫌な予感しかしない。
俺は二人を見上げたまま、かぶりを振った。

どちらにも、行きたくないと。

すると、二人とも凄く怖い顔つきに変わっていく。
俺の身体からは血の気が引いていった。



「我が儘は、よくないぞぉ?」

「正巳、早く選べ」



鬼みたいな顔をして二人が近づいてくる。
俺は泣きそうになりながら、かぶりを振り続けた。
だって、俺も二人も男なのに。こんなこと、可笑しい。

す、と表情を無くした二人が、俺のすぐ目の前でぴたりと動きを止めた。
何故だろう、と二つの顔を見つめる。
二人とも、ゆるゆると口を歪めた。



「…初めて椎名と気ぃあったかもー」

「胸糞悪ぃけど、今回はしゃーないな。……正巳」



肩が、全身が可笑しなくらい震えた。
二人の手が延びてくる。

て お く れ 。



「我が儘なお前には、」

「お仕置きが必要だよ、ねぇ?」



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そしてこれが裏に続く、と…(続きません)
初中編ですが、中途半端に終わるのが山田クオリティ…
このあと杉田くんが吉國を選ぶのか、椎名を選ぶのか、お仕置きは何をされるのかはご想像にお任せしますっ。








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