「どうしたの?そんな怯えた顔して…大丈夫?」



白々しい言い方に眉間に皺がよる。納谷くんがしゃがんで、俺の目線に合わせた。
俺は顔をそらした。



「ねぇ、自分の状況わかる?」

「え、ぁ、」



顔を無理やり納谷くんの方に向けられる。口と口がくっつきそうな程近く、俺は体を動かした。しかし、納谷くんが上に乗っかってきたため、全く動かなかった。
納谷くんの言葉の意味を知った。「自分の状況わかる?」つまり、このまま、どうにか出来るぞ、と言っているのだろう。



「ねぇ、ここでさ、無理矢理ヤられるのと、俺と付き合って、徐々にならしてくの、どっちがいい?」



納谷くんがとんでもないことを笑顔で言い出した。
俺からしたら、どちらも願い下げだ。
俺が答えないのに焦れたのか、納谷くんは俺のネクタイを緩め始めた。
俺は焦って声を上げた。



「つ、付き合うのが、いい!」



納谷くんの手が止まった。にやぁ、と心のそこから気味の悪い笑顔で、納谷くんが俺を抱き締めた。
俺は、どうすればヤられないですむのか、なんて既に毒されたような思考を繰り広げていた。



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一応終わりです。納谷くんは好きな人以外にはドライ。








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テーマ「人外ファンタジー」
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