王道学園設定

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「やっぱりめいちゃんが一番可愛いよなぁ」

「おま、ふざけんなよ?一番可愛いのはみるくたんに決まってんだろJK」



放課後のとある教室。そこには平凡そうな奴とメタボリック症候群予備軍体型の男子が二人で何かについて語っていた。

知っている人は知っているが知らない人の方が圧倒的に多いここは、
『漫画アニメ研究同好会』
というオタクには堪らない同好会だ。
しかし、どういう訳か、ここの同好会に所属しているのは、先程の平凡とデブのふたりだけ。つまり、廃部寸前なのだ。
悠長に『魔法少女☆みるみるめいめい♪』の話などしている暇など彼らにはないのである。



「……それにしてもさ、学園オタク率低すぎない?」

「あぁ、それはわかる。生徒会を愛でたりするばっかりでアニメを愛でる奴が少ないよな。腐女子にはたまんないだろうけどね。こんなホモの巣窟」



平凡が言えば、デブはポテチを摘まみながら饒舌に語った。
所謂王道学園であるここは、男が男に恋するのが当たり前だ。彼ら二人のようにアニメのキャラクターに初恋を捧げたような者は希少であり奇異であった。
平凡はため息を溢し、頬杖をついた。



「腐女子は喜んでも俺はちっとも嬉しくないよ。薔薇より百合派だもん。それよりさ、部員集まんないとここ潰れるぞどうするんだよ」

「それは…」



デブが言いよどむ。

『漫画アニメ研究同好会』はつい最近まで部員は三人だった。ギリギリ同好会として成り立つ部員人数だった。しかし、一人がある日突然生徒会長に恋してしまったのだ。あんなに二次元を愛していたのに、今では生徒会長親衛隊に所属している。
二人には新しい記憶であり、忌々しいものでもあった。



「誰か一人、あいつの変わりを入部させないと。近いうちにここは……」

「わかってるけどさぁ」



パリ、とポテチが乾いた音を立てる。
二人の状態がこれ以上続けば、『漫画アニメ研究同好会』は廃部、この極楽地帯を二人は手放す事になる。
二人ともそれだけは避けたいようだ。
「俺友達お前しかいないし」デブが指を舐めながら言った。「……俺もだよ」ティッシュペーパーをデブに差し出しながら平凡は言った。
二人とも学園で浮いている存在だったため、目立った友人などお互いしかいない。同好会に誘える人物など居ないに等しかった。
項垂れる平凡。ポテチを食べ終えたデブは板チョコを食べ始めた。








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テーマ「人外ファンタジー」
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