「…納谷くん」



結局声をかけたら、納谷くんはゆっくりと俺に目を向けた。目がキラキラしててなんか綺麗だ。
俺は吃りつつノートを差し出す。「こ、こここれ」彼は俺から視線をノートに移すと、頬をついていた手でノートの端を掴んだ。



「ありがとう、向井くん」



ふんわり微笑む納谷くん。
不覚にも胸が高鳴ってしまうほど、綺麗な笑顔だった。
初めて見た笑顔だ。多分、クラス全員初めて見ただろう。納谷くんはいつも無表情だから、笑顔になると美形さがより一層際立った。

とりあえずノートを渡して、納谷くんから距離を取る。
騒がしかった教室は、納谷くんの笑顔ですっかり静かだ。
名前を覚えられている事にも驚きだし、やっぱりイケメンの影響力は違うなと思った。



「お前、納谷と仲良かったっけ?」

「いや、全く」



俺が首を横に振れば、友人は"えー"と不服そうな声をあげた。そんな顔されたって、仲良くないもんは仲良くないんだよ。








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