「先生、」
俺は先生の服から手を離して、その顔を見上げた。先生は少し赤い頬を隠さず、俺に微笑みかけてくれた。
胸が締め付けられるように痛くて、佐南といた時には感じた事のない、初々しい感覚。
「俺、佐南と別れるよ」
「え……い、いいのか茂谷…?」
「うん。だって今は」
先生を好きって気持ちの方が大きいから。
やっぱり俺は現金で最低な奴だ。だって、佐南が俺を責めたり、嫉妬していたら、俺は先生をあっさり捨てるつもりだった。
なのに今は、ノリで付き合った佐南よりも数倍先生が好きだ。
「僕は教師で、しかも男だよ?いいの?」
「そんなの、今さらでしょ?」
俺が笑ったら、先生も笑ってくれた。それだけでこんなにも満たされていく。
先生に佐南と別れると宣言した次の日、俺は佐南を呼び出した。
久しぶりに見る佐南はやっぱりイケメンだった。
「どうしたんだよ、呼び出したりして」
佐南は何処と無く嬉しそうに喋りだす。
俺はゆっくりと口を開いた。
「佐南、別れよう」
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