別に特筆して書くこともない容姿は、親譲りのものだ。
平凡だと誰からも言われる俺の非凡は、つい最近始まった。



「またかよ…」



下駄箱に数枚の手紙。
俺はため息を溢してそれを鞄に突っ込んだ。

最近、毎日のように入れられているこの手紙。今日は三枚だが、多いときは十数枚入っている。
最初の方こそは、もしかしてラブレター!?なんて気持ちで手紙を手にとっていたが、三日目にして早々と違う、と気づいた。
便箋にびっしり綴られた、病的なまでの愛の言葉。まぁ、ある意味ラブレターだが、流石に度を越していた。
そして俺はある答えに行き着く。

嫌がらせだ。



溢れたため息を隠すこともせず、俺は廊下を歩いていく。
こんな手のこんだ嫌がらせ、誰の仕業だろうか。
特に交遊関係が広いわけでもない俺だ。こんな嫌がらせをしてくる奴は限られてくるが、誰もが知らないと言った。

気味は悪かったが、特に危害を加えられたわけでもないので、俺は気にするのをやめにした。
出会い系メールくらいの認識で、これからは見送ってやろう。俺は鞄に仕舞ったそれを考えないようにしながら教室に入った。








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