こんな知識を誰が会長に吹き込んだんだ。あーん、なんて今時の少女マンガでもやらないというのに。そもそも、大和にやってもらわなきゃ嬉しくないだろうに。
会長は、口を開けたてそのまま動かないし、俺はお粥を持ちながら困惑した。マジでやらなきゃいけないのかな、と一応蓮華にお粥を掬う。それを会長の口に運んだ。
素直にそれを食べた会長はお粥を飲み込むと、にんまりと笑う。



「不味くはないな」



そう言って、また口を開く。美味しいなら、美味しいって言えばいいのに。

結局、お粥全部をあーんで食べさせてしまい、30分くらいかけて完食した。大分顔色の良い会長を念のため寝かせて、俺は口を開いた。



「じゃあ、俺はそろそろ自分の部屋に帰ります。
今日は温かくして寝てくださいね」



立ち上がる俺の腕を、会長が掴む。なんだろう、と思いながら 会長に視線を落とした。
「駄目だ」
会長が首をふる。俺は困ったように笑う。
「でも戻らないと…」
会長の手に力がこもる。「看病。やるなら最後までちゃんとやれよ」会長の姿がまるで小さい子供に見えた。俺は元々座っていた場所に再び腰かけた。



「じゃあ、寝るまでついていてあげます」



そう、俺が言えば会長は何処と無く嬉しそうに微笑んだ。








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テーマ「人外ファンタジー」
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