会長の部屋を数分かけて探し、俺は戸を控えめに叩いた。
中からがらがらの声が聞こえ、鍵が開く音がした。意外と無用心だなぁとこれまた控えめに室内に入った。
部屋に入って思ったのは、俺と大和の部屋より高級だとか、そんなことだけだ。
肝心の会長はどこだろう、とリビングに足を運ぶ。でかいソファーの上に、会長はパジャマで座っていた。
いつも整えられた髪は崩れて、額に冷えピタが貼られている。顔も赤く、不謹慎ながらエロいと思った。



「寝てなくていいんですか?」

「…平気だ。で、お前は風邪でも貰いに来たのか」



そんなわけないだろ、と俺は頭を振る。事前に買ってきたポカリと消化の良さそうな物を見せた。
会長は少し驚いた顔で俺を見やる。



「まさかとは思うが…見舞いか?」

「それ以外に何があるんですか」



少し呆れながら言えば、会長は喋りだした。「いや、俺にはそんなことをしてくれる友人など居なかったからな。少し意外なだけだ」会長から突然ぼっちだった宣言をされ、俺は反応に困ってしまった。



「俺に近づくのは顔目当てか金目当てだった。だから、お前みたいなのは貴重だな」



会長のその笑顔が切なくて、俺は直視ができなかった。








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