「会長のお見舞いに行こう」



ぽん、と思い付いたことを口にすれば、そこに居合わせた大和がポカンとした。
俺は早速行こう、と立ち上がる。すると、俺の手を誰かが掴んだ。
振り向けば、立ち上がった大和の姿。



「なに?どうかした?」



俺が疑問を口にすると、大和は少し真面目な顔で頭を振った。「行っちゃ駄目だ」俺は首を傾げる。なんで、と言う前に大和は喋りだす。
「…和哉と宝来が仲良いようには思わないぞ。逆になんで行く必要があるんだよ」
大和の低い声に、俺は言葉に詰まった。

会長とは他では言えないような絆(萌え供給)があるので、大和の次くらいに仲がいいつもりだ。しかしその事を大和が知るはずもなく、言ったところで納得してもらえないだろう。
俺がどう返すか悩んだ。



「…ほら、お世話になってるじゃん、会長にはさ。だから、お見舞い行ってくるよ」

「……」



俺の諭すような言葉が効いたのか、大和は恐る恐る手を離した。「和哉」今度こそ行こうと足を動かしていたのに、大和はまたも俺を止めた。
振り返る。
大和の瞳に光がない。「和哉は…和哉は、宝来が好きか?」



大和の質問に、俺はすぐに言った。



「俺は同性をそういう風には思わないよ」








「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -