「来週はもうテストだぞ。赤点の奴は補習だから」
帰りのホームルームで担任が言った言葉に、俺は目を点にした。
「テストかぁ嫌だなぁ!」
ホームルームが終わって、早速近くにやって来た大和が言う。俺にはそんな軽口を叩ける程の余裕などなかった。
今日は火曜日で、来週からテスト。もう時間に余裕などないじゃないか!
とりわけ頭が良いわけではないため、勉強しなければ当然点数は悪くなる。しかし、一人で勉強をして、うまいこと行った試しがない。
「どうしよう、誰か勉強教えてくれよ…」
机に突っ伏して嘆く。
すると、ぽんぽん、と肩を叩かれた。俺は顔を上げる。
「和哉、大丈夫か?」
大和が心配してくれているらしい。俺は一応頷くが、嘘だ。全く大丈夫じゃない。
大和は頭良かったかな、と尋ねてみる。大和はおどけたような表情で頭を振った。
「でも藤堂がなんか教えてくれるとか言ってた気がする」
「副会長が?」
俺はぴくりと反応する。
…副会長、絶対頭いいよな。俺は口を開く。「でも」しかし、大和の言葉に遮られた。
「でも、風紀委員長に生徒会室に行くなって言われたんだよな」
「うん、それは俺も言われた」
「でもさ、藤堂は生徒会室で勉強しようって」
それはつまり…、勉強を教われないってこと?
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