「なんで二又がここにいるんだ?」
俺の頭に顔を押し付けるのを止めた大和が会計に問いかけた。
会計は微笑み、大和の頭を撫でた。
「大和に会いに来たんだよ」
大和にはゲロ甘だな、とファンに向けるより数倍綺麗な笑顔を見て思った。大和がどんな顔をしているかわからないが、きっとうっとりしているんだろう。
これが男女だったら腹立つが、いまみたく男同士ならかなりうまい。
「大和、二人であっち行こうよ〜」
ベタベタくっつく会計に、大和はパシッ、と手をはね除けた。
「暑いからやめろよ!」
俺にさっきくっついてきた癖に何を言ってるんだ。
そう思いつつ大和を見上げれば、大和はかなり真面目な顔をしていた。会計は困ったような笑顔でごめんね、と呟いていた。
…なんだか可哀想だ。
「…会計」
「なんだよ平凡が」
俺はブレザーのポケットを漁った。
確かここに…。
「手、だして」
「…?なんでお前の言うこと聞かなきゃ」「いいからいいから!」
怪訝そうな顔しながらもおずおず手を出した会計のそこに、俺は飴をコロンと転がした。
「…なんだこれ」
「あめですけど」
「そんなのわかるし。馬鹿にしてんの」
飴を見つめながら、会計は文句を垂れた。
文句を言うくらいなやらないぞ!というニュアンスの視線を送れば、会計はふーんと呟いた。
「………まぁ、もらってやるよ」
何故上から目線。
ちょっとムカついたが、俺に向けた顔にしては穏やかだったから何も言わない事にした。
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