一瞬、時が止まった気がした。
会長の真面目な顔が焼き付きそうな位見つめる。
"大和にふられた"
会長は確かにそう言った。
「大和には好きな奴がいるらしい」
そんなの初耳だ。ずっと一緒にいて、親友だと思っていたのに俺はそんなことも気づかなかったのか。
会長は腕を組んで視線を流した。
「すまないな、お前の萌えになれなくて」
「い、え。俺の事は別にいいです…」
俺は緩く首を振った。
こんな事を言ってしまうところを見ると、会長は大和を諦めてしまうのだろうか。
俺がそわそわしていれば、会長はフッと笑ってこちらを見た。
「勘違いするなよ。俺は、大和を諦めない」
「!本当ですか!」
コクリ、会長は頷いた。
萌えが確保された事も嬉しいが、それ以上に俺は会長の真っ直ぐな気持ちに感動を覚えた。
小説なんかとは違う、揺るぐことのない本当の"恋"みたいなものを見た気がした。俺は浮気攻めなんて許さないんだよ!
「つーことで報告しただけだ。お前はこれからも美形と絡んでればいいからな」
「あ…はい」
その契約が無くなったりしないんだな、と思った。
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