「…大丈夫?」
「あ、はい…ありがとうございます」
助けてもらったお礼を言えば、書記は嬉しそうに破顔させた。なんか愛でたくなる顔だ。癒される。
そう、のほほんとしていたら、重大な事に気がついた。
……会計と絡んでいない!
寧ろ喧嘩腰だった。会計の俺に対する印象は元々悪かったが、今回の一件で最悪だ。
どうしよう、会長に知られたら怒られるよな。下手したら、俺様止めるかもしれない。…絶対に嫌だ!
「…百面相」
「へ?」
「顔、面白い」
面白いとは失敬な。
クスクス笑う書記が不愉快で、しかめっ面になる。すると書記は慌てて口を開いた。
「ちが、悪い意味じゃ、怒らないで」
「…怒りませんよ」
なんだか書記のわたわたする様子に、子犬のカズを思い出す。
会計に絡めなかった事を再び忘れそうになっていると、誰かに腕をひかれた。
突然の事に、体がぐらつく。その腕をひいた人物に寄りかかってしまい、慌ててその人物を見上げた。
「なにしてんすか、書記さん」
笑顔を書記に向けた、爽やかくんがそこにはいた。その笑みは目が笑っていなかった。
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