俺が会計を探している事実を、書記が知っている事に暫し動揺していたら、そんな様子の俺を見て書記は更に泣きそうな顔になった。何故だ。
「図星…」
「ははは…」
涙目で睨まれ、別に悪いこと等していないのに悪い気がしてくる。
居たたまれない気持ちをもて余していたら、書記の後ろから人影が見えた。
…タイミングが悪すぎる。
「…花家と何してんだよ」
会計だった。
探していた人物だったが、このタイミングは完全に誤解される。
泣きそうな書記と気まずそうな俺。誰が見ても、俺が悪者っぽい。
眉間に皺を、これでもか、というほど刻んだ会計が俺の腕を力任せに掴んだ。痛みから、俺の眉間にも皺が寄る。
「生徒会の者に何かしていいと思ってんのかよ、あ?」
「ふ、たまた」
「花家は黙ってろ」
俺を強く睨み付ける会計。その目には軽蔑の色が濃く浮かんでいた。
「違う、二又。石橋、悪くない」
「…なに庇ってんだよ。こいつは、大和を利用して俺達をたらしこもうと、」「石橋は違う」
凛とした声が響く。
書記のはっきりした物言いに、会計は面食らっていた。横で傍観していた俺も、書記の初めて聞く声に戸惑う。それから、会計の酷い勘違いに若干引いた。
「石橋は、そんな奴じゃない」
そこまで力説されると照れるな、とか場違いな思考を巡らせていたら、会計に突き飛ばされるようにして腕を離された。よろける俺の体を支える書記。紳士すぎる。
「っ…一生やってろ!!」
そんな書記を見て、般若顔負けの表現を浮かべたまま会計は来た道を戻っていった。
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