悲鳴と俺に対する口汚い罵倒が響き渡る教室を背に俺は爽やかくんに腕を引かれ、何処かに連れていかれた。
やっと離された腕を擦りつつ、俺は爽やかくんを見上げる。彼は困ったように笑うと、頭をかいた。
「余計なお世話だったか…？」
「…ううん、助かった」
俺は頭をふり、そう答えた。
爽やかくんは俺を助けてくれたのだろう。
嬉しくて思わず笑いかければ、爽やかくんも嬉しそうに笑い返してくれた。
先日の事がなければ、良い友達になれただろうな、と思わずにはいられない。
ふと、笑うのを止めた爽やかくんが、また困ったような顔をした。何故だろう、と俺も笑うのを止める。
「なぁ、さっきの、生徒会長の親衛隊だよな…」
「…」
そうだったのか。通りで規模がでかいはずだ。
俺は思わずため息を吐きそうになる。最近、かなりため息が増えた。
「気をつけろよ、石橋」
真剣な顔を、少し近づけた爽やかくんはそう言った。
俺はゆっくりと頷き、彼の瞳を見つめる。すると、爽やかくんは笑顔を浮かべて口を開いた。
「その顔、ゾクゾクするな」
爽やかくん…良い奴なのに、極端に残念だ。
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