「よう石橋」
爽やかくんにコクられた次の日の朝、寮の自室から出ると、会長が腕を組んで立っていた。その顔には親衛隊が卒倒しても可笑しくない程綺麗な笑顔を浮かべていた。
朝っぱらからこのキラキラした笑顔は俺にはキツいものがあり、思わず眉間にシワがよる。そんな俺の反応を気にも止めず会長は喋りだした。
「スポーツ特待生に告られたらしいな」
スポーツ特待生…つまり爽やかくんのことか。
昨日の出来事を思い出して顔が更に険しくなるのを感じた。
「やっぱりお前には素質があったんだな。俺の目に狂いはない」
一人頷く会長を至極疎ましく思いながら俺は適当に相づちをうつ。
どうやら会長は爽やか×平凡というカップリングを目の当たりにしたから上機嫌らしい。
くそ、俺の気も知らないで。
「まぁ、この調子で頑張れよ。俺もお前の萌えになってやるから」
そう行って会長は颯爽と立ち去った。
会長の口から萌えとか聞きたくないよなぁ、と少し思う。まぁ、そんなことは今更か。
俺は重いため息をつくと、寮をあとにした。
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