恋は盲目だと言うが、まさにそんな感じ。猪突猛進で前後不覚な爽やかくんにはお似合いな言葉だと思う。
返答に困り果てた俺は黙秘を実行、ずっと床を眺めた。
何度も言うが、俺はノンケだ。
「…まー、返事とかはあとでいいから。考えといてよな、俺のこと」
俺の横を颯爽と通り過ぎた爽やかは、石鹸みたいな香りを香わせながら科学室から出ていく。
俺はボケッとアホ面でいつまでも床を眺めていた。
俺は無意識のうちに校舎裏に来ていた。そこには子犬のカズと、書記が当たり前のように居た。
人生初の告白に、どうも乗り気になれない俺は子犬を撫で回す。どこか羨ましそうにそれを眺める書記は無視。
「んー…」
「……どうか、した?」
「…ちょっと色々ありましてね」
曖昧な返事を返してため息。
爽やかくんが俺を好き。
如何なものだろう。あのイケメンが俺を好きとか、罰ゲームか何かじゃないのか?と思った。しかし、
爽やかくんの目は本気だった。
だからこそ、彼の気持ちには真剣に向き合わなければいけない気がした。頭が痛い。
さっきから心配そうにオロオロする書記が目に入って、なんとも言えない気持ちになる。恐らく、否、絶対心配をしてくれている書記に、その場しのぎな笑顔を向けた。
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