爽やかくんの言葉に、開いた口が塞がらない。
大和が好きなのか、わからない。
なんて。
いつも大和の周りで笑顔を振り撒いてたじゃねーか。
呆れて何も言えない俺を見て、爽やかくんは苦笑いを浮かべた。多分、本人も戸惑っているのだろう。
「あの、さ。下品なんだけど、出雲で抜こうとしたんな？」
「あ、うん…」
さらに続けた爽やかの言葉に、俺はやっとの思いで返事を返した。
まぁ、男なら好きな子をずりネタにする事くらいあるだろうし、俺は特に驚かなかった。
「でさ……抜けなかったんだよね、出雲の事考えても…」
落ち込んだ面持ちで爽やかはそう言うと、嘆息を溢す。
好きだと思っていた人物で抜けなかった時の喪失感を考えたら、少なからず目の前の爽やかに同情してしまった。
が、そんな俺の同情は直ぐに必要のないものとなった。
先ほどとは打ってかわり、やけに眩しい笑顔を浮かべた爽やかは口を開いた。
「でも、石橋！」
ガッ、と俺の肩を爽やかは掴む。
え、何。痛い。
とか考えながらも、俺の意識は目の前で眩しい笑顔を撒き散らすそいつの言葉に注がれた。
だって、
「お前なら抜けたんだよ！」
こんなこと言い出すんだもん。
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