清々しいとは言えない朝を迎え、俺はいつもと変わらぬ登校を果たした。昨日の午前の様に気分が沈んでいないのは、間野が俺に害を加えないことがわかったからだと思う。
教室に入れば、俺の隣には既に間野が座っていて、やっぱり人だかりが出来ていた。
俺はその人だかりから避けるように自分の席に荷物をおいた。



「あ、タクミおはよー」



俺に気づいた間野が、俺の近くによってきた。昨日と同じで、人だかりの視線はすぐに俺に向く。「誰だよお前」みたいな視線に気まずい事この上ない。



「……おはよう」



とりあえず間野に挨拶を返した。そして、視線から逃げ出すように教室を後にした。
間野が何かを言っていた気がしたが、気のせいで片付けて俺は構わず歩いた。

来たのは、中庭だ。
昼休みのお弁当を食べる定番スポットらしい。まあ俺は毎日学食なので関係ないが。
中庭には大きな木があり、その下にベンチが設置されている。俺はとりあえずそこで暇を潰そうとベンチに近づいた。
すると、ベンチには既に先客がいた。



「…こいつ」



クラスの奴だった。
確か、間野とよく一緒にいた気がする。こいつもこいつで顔が良いから、女子が騒いでいたような。
名前は確か、安孫子蓮。
そんな感じの名前だった。学校にあまり来ないので、秀でた印象がない。しかし学校に来ないということは、やっぱり危ない奴なんだろうと思う。



「んぅ……」



綺麗な顔をしかめて、身を捩る。
やばい、起きる前に逃げよう。そう思い足を動かした時、安孫子に腕を掴まれた。最近なんだかついてない気がする。








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