間野と白鳥さんの騒ぎは次の日、ずっと噂になっていた。間野が白鳥さんをふった、という紛れもない事実だったり、間野には心に決めた人物がいるという微妙な噂やらたくさん流れていた。
間野は特に何か言い訳などしたりしないので、噂は3日も立てばすぐに聞かなくなった。



「お前等ー席替えすんぞー」



教室に入ってきた先生がそう言った。ざわめく教室。
少し前の俺なら酷く喜んだだろうが、今は少し残念な気さえする。
ちらりと間野を伺えば、やけに無表情に見えた。



「おら、適当にくじ引け」



がさがさと箱をふる先生。みんな続々と立ち上がり、くじを引いていく。俺もくじを引こうと立ち上がった。
簡易的な箱に手をつっこんで一枚紙を引いていつの間にか書いてあった場所を確認してみた。



「…今と同じだ」



そっくりそのまま、同じ場所だった。少し味気の無い席替えになったな、と隣は誰だろうと眺めていた。すると、そこに一人の人物がどかりと腰かけた。



「安孫子…」



俺は自分の席に近づきながら呟く。俺に気づいたのか、安孫子が口を開いた。



「よう、吉永。お前席どこだよ」

「そこ」



安孫子の隣を指差す。
安孫子は一瞬キョトンとした後破顔した。



「じゃあ隣だな」








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テーマ「人外ファンタジー」
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