やっとの思いで食堂についた時には、俺は疲労感と居たたまれなさで困憊していた。

俺は間野に押されるがままに座り、間野は俺の前に座る。マジで一緒に食べるのか。



「ヨシナガくんなに食うの?」



メニューから目を外した間野が俺に問いかけた。不意に話しかけられ俺は目を泳がせ、メニューに目を移して目についたものを口にした。



「こ、のうどんにする」

「じゃあ俺もそれにしよ」



パタンとメニューを閉じながら間野が言う。
一緒にする意図が掴めなかった俺は、思わず目の前の間野に目を向けた。目があってしまった。



「なぁに?」

「い、やその……お、俺、注文してくる!」



頬杖をついてこちらに笑いかける間野から逃げるように席を立つと、間野も立ち上がった。
何事かと思って見つめる。また目があった。



「オレが注文いく」

「え、でも…」

「ヨシナガくんは座ってて」



ニッコリ笑いながら間野は俺の肩を下に押す。意図も簡単に座らされてしまい、俺は慌てて間野に視線を向けたが、既に注文の列に並んでいた。
わざわざ頼みに行ってくれるとは思わなかった。てっきりパシリにでもされると思っていたので、呆気に取られる。
間野はあのチャラついた見た目と反して、実は好青年なのだろうか。
………俺には関係ないか。
途端考えるのがバカらしくなったので、俺は大人しくうどんと間野を待っていた。








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