凛太郎から聞いたことを、間野に聞いてみた。白鳥さんの事だ。
眉間に皺を寄せた間野が、頭を乱暴に掻いた。
「リンのヤロー…口軽いんだよアイツ…」
はぁ、とため息を吐いた間野を見上げれば、間野は観念したように口を開いた。
「…正直、参ってる」
「やっぱり、本当だったんだ…」
女の嫉妬の深さに驚愕する。
間野を自分の物にしたいからと、俺にまで圧力をかけるなんて、生半可な気持ちでは出来ないことだ。
それと同時に、間野の身の安全が不安になった。あんなデマを流したりするのだから、そのうち間野を刺してもおかしくないだろう。
「でも、なんとかするから」
「うん…」
間野が笑顔で言うから、俺は頷く事しか出来なかった。
次の日、いつもと変わらない筈の学校がなんだか騒がしい事に俺は気付く。人だかりの出来ている教室は、俺のクラスだ。
何事だろうか、と教室の前に出来ていた人混みを掻き分けて中を覗いた。
噎び泣く女子が、間野にすがり付いていた。
間野の顔はこちらからは見えないが、きっと困っているんだろうと思った。だって、何も出来ないのか、手が宙を泳いでいる。
間野にすがり付いていた女子が不意に顔をあげる。
白鳥さんだった。泣き腫らした瞼が、彼女の美しさに陰りを作っている。
彼女が虚ろな瞳で人だかりに目を向け始める。
そして、その瞳が一人の人物をとらえた。
俺だ。
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