俺の声に振り向いた間野は、少し驚いたように目を見開いた。
俺は荒くなる息を整えて、間野を見上げる。



「どーしたの、タクミ…」

「あの、俺」



ドキドキと早くなる心臓が喧しい。
俺は唾を飲み込むと、口を開いた。



「翔太郎のこと信じなくてごめん!」

「え、」

「……でも今は、翔太郎が俺のことなんとも思ってなくても、俺は、翔太郎のこと、大切な友達だと思ってるから」



少しでも気持ちが伝われば、と間野の色素の薄い瞳を見つめた。
間野も同じく見つめ返してくる。
こんなことを言ったのは初めてなので、少し恥ずかしいが羞恥よりも、満足の方が上まっていた。
思わずはにかみそうになっていると、長いため息を吐いた間野がいきなりしゃがみこんだ。
どうしたんだ、と肩に触れる。耳が真っ赤だ。



「タクミ、それ反則でしょー」

「え?」

「分かってないないし…あーヤダヤダ」



また息を吐いたと思えば、間野は此方に顔を向けた。顔も微かに赤い。



「俺も、タクミのこと大切だよ」



真剣な、けれど優しい顔で言われる。…間野だって反則だ。








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