土曜日。
間野や安孫子からのからかいや、ちょっかいが無くなるとっても平穏な日だ。
思わず、笑みがこぼれる。
慌ててそれを隠すと、俺は手元の雑誌を元に戻した。
俺は今本屋にいた。
ほしい本はもう手に入ったし、そろそろ帰ろう。
そう思い振り替えると、遠目からでも目立つ黒髪が目に入る。
……安孫子だ。
女を腕に絡ませた安孫子がいる。
休日にまで絡まれては億劫だ。俺は無意識に後退った。
その時、安孫子と目があった。ぎくり、と体が強ばる。安孫子は笑顔で近付いてきた。



「よう吉永、何してんだお前」

「……安孫子こそ何やってんの」



質問を質問で返すという荒業に出た俺。聞かずとも、デートだと分かるが。



「俺?俺は散歩」



散歩?
腕に絡まっている女の子は安孫子を驚いたように見つめていた。同じく俺も。



「な、何言ってんの蓮…あたし達デートしてたんでしょ?」



女の子は綺麗な顔を苦笑いで歪めて、安孫子にすがるような声をあげる。
安孫子は彼女を一瞥して、ため息を吐いた。この時点で女の子は涙目だ。
そしてこの一言。



「うっざい。もうお前あっち行けよ」



女の子は泣きながら走っていった。
まじかよ、可哀想だろ。そういう意味を込めて安孫子を見上げる。安孫子は綺麗な笑顔を見せた。



「吉永、これから暇?」








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