野暮ったい地味メガネな俺とは違い、弟は社交的で派手な顔立ちをしていた。本当に兄弟か?と疑うほど、俺たちの顔の作りにははっきりと違いが表れていた。
イケメンな弟に、地味な兄。
弟が俺を下に見だすのにそう時間はかからなかった。

弟はことある毎に俺の存在を無いものとして扱う。腹が立つし、悲しいけれど、なんだか当然な気がして俺はその行為を受け入れていた。
今日も、弟はソファーに座る俺に見向きもせずに、同じソファーの端に腰かけた。俺も端に座っているので、両端に座るような形だ。
当然兄弟間の楽しい雑談等は無くて、弟はただじっとテレビを見ていた。
沈黙が辛いなぁ、と俺はそんな気持ちを紛らわすために携帯を弄った。最近知り合ったネット友達と会話するためだ。相手も男らしいが、実際のところ定かではない。
冗談を交えながらの会話に、俺は思わずくすりと笑う。弟に変に思われるのは怖かったけど、この人が面白いんだからしょうがない。なんとか大声で笑うのは堪えるが、肩が小刻みに揺れてしまう。
なんとか落ち着かせて、俺は何気なく弟の方に目を向けた。
合うはずがない、と思ったのに、俺と弟の目ははっきりと合った。
弟の形の良い唇が動き出す。



「なに、笑ってんの」

「あ、えっと…」



見られてた、と思うとかなり恥ずかしい。たぶん、顔が赤くなっているだろう。
俺の赤面を見た弟は、整えられた眉を怪訝そうに潜めた。「なに?彼女かなんかなの?」俺にそんな存在がいないとわかっていてそんなことを言っているのだろうか、と俺は少しムッとする。
だから、思わず嘘をついてしまった。



「そうだよ、さ、最近出来たんだ」



俺の言葉に弟は目を見開いた。なんて失礼な、とか思っていると、俺の視界が反転した。
視界には天井と、弟の不機嫌そうな顔。
「それ、マジで言ってんの?」
俺はなんでこんな状況になっているのか分からず、弟の問いかけに何も答えられなかった。
何も言わない俺に痺れを切らしたように、弟が舌を鳴らす。



「チッ…誰のために我慢してると思ってんだよ」



弟はそう呟いて、俺の上から退く。
俺は、ソファーに沈んだまま弟の言葉の真意を考えていた。



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弟はお兄ちゃんっ子












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テーマ「人外ファンタジー」
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