放課後になって、俺はA組前の廊下で佇む。数人にじろじろ見られたりしたけど、あまり気にしないことにした。
少し時間が立ち、気づけば教室内はガラガラになっていた。誰一人として居残ったりしていない。妙に静かな廊下はなんとなく少し不気味だ。
どんどんオレンジになっていく空を眺め、俺は藤井が来るのをひたすら待っていた。
空がすっかりオレンジになってしまい、俺はだんだんと飽きてきて、廊下だというのも構わないで座り込んだ。もう帰ろうかなぁ、なんて思考が働いてきた頃にやっと藤井はやって来た。
「ごめん、待たせたよね。廊下、汚いから立った方がいいよ」
「はぁ…それで、本は?」
俺は早く帰りたいがために、少し突っ慳貪な感じで手を差し出す。藤井は特に俺の態度を気にするでもなく、俺の手の平に借りた本をぽん、と置いた。
これで返却完了、と俺は藤井に一度頭を下げると、図書室に向かうために背を向けた。すると、藤井に肩を掴まれる。
なんだ、と俺は振り返った。
「待って、俺も行く!」
何故か焦ったように言うので、俺は好きにすれば良いのにと思いながらいいよ、と返した。
数分かけて図書室に向かい、やっとのことついた。
今日の当番の子に本を渡して返却名簿に藤井の名前を書いてもらう。これで終わりだ。
今日も誰もいない図書室の席に腰かけてみた。何故か隣に藤井も座った。
「帰らないの?」
「藤井くんは?」
「俺は、君と帰りたいかな」
俺は藤井の言葉に思わず首を傾げた。なんで俺なんかと帰りたいんだ?とか考えていれば、藤井は俺の腕を引いた。「君と帰りたい気分なんだ!」イケメンの思考はよくわからない、と俺はそのまま引き摺られるように藤井についていった。
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さ、更につづく
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