ハロウィーン。西洋の悪霊を追い出す祭りの日。ハッピーハロウィーン!何て言うけど、俺は全くハッピーじゃない。
俺は化け物で、出来損ないで、それで。
「こんなところいたのか」
「…ドラキュラ」
俺が人通りのない路地で踞っていると、風とともにドラキュラが現れた。俺は恥ずかしくて頭の"耳"を隠す。「おまえ、満月見たんだろ」こくり、頷いた。
俺は出来損ないだ。父さんも母さんもうまく狼になれるのに、俺だけは耳と尾っぽが生えるだけ。
子供の仮装じゃないか、とからかわれるから俺はハロウィーンが大嫌いだった。
ドラキュラはふぅ、と息をつく。ドラキュラの一族は皆格好いいからこいつも格好いい。ため息すら様になるのだ。
狼一族も、一応男は体格がいいはずなのに俺だけこれも全くだ。ヒョロヒョロとドラキュラよりも細い腕。腹が立つ。
「いつまでここにいるんだ?」
「…耳が引っ込むまで」
俺の言葉にドラキュラが失笑した。「夜明けまでここにいるのか」俺は黙る。
ドラキュラはまたため息をついて俺の横に座り出した。その高そうな服が汚れるぞ、という意味の視線を向けてもそ知らぬ顔だ。
「俺は」視線を汚れたアスファルトからドラキュラにうつした。
「俺は、いいと思うぞ。その、み、耳としっぽ」
「…馬鹿にしてんの?」
「違う」
ドラキュラが顔をこちらに向けた。真面目な顔している。微かに赤い頬に疑問を感じながら、俺も見つめ返した。
「なんというか、き、キュートだと、思う」
「…はぁ?」
「っ!な、なんでもない!」
プイ、と顔を背けられる。
真っ白い肌が首まで真っ赤なのが可笑しくて、俺は久しぶりに声を出して笑った。
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日記の追記のやつだけじゃ流石に申し訳ないので
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