クラスには、人気者が二人いる。
一人は爽やかなスポーツマンで、面白いし気さくだから誰からも慕われている。俺も結構良いやつだと思ってる。…少しバカなのが傷だ。
そしてもう一人が学級委員長で、頭がよくて、銀フレームの眼鏡がよく似合う美青年。…たまに冷たいのが傷だ。
俺はどちらともそこそこ交流があるから言える。
二人は仲が悪い。
「あれ、委員長いたんだ?」
「お前こそ全く気がつかなかった。影が随分と薄いんだな」
「その眼鏡は飾りなの?」
バチバチと火花を散らして二人が睨みあう。
俺をはさんで。
至極迷惑だ。俺は一番の友人(平凡)と談笑を交わしていたはずなのに、どこかから現れたこの二人のせいでそれは中断だ。友人は二人が現れるとすぐにどこかへ行ってしまった。
いつもそうだ。この二人のせいで、俺の楽しみの時間は全て無くなっていく。二人が俺の近くで喧嘩するから、友達が極力俺の近くには来なくなってしまったのだ。
だが、二人とも悪いやつではないので、そこまで強く注意も出来ない。俺はどうするべきか分からずにいた。
「なぁあっち行こうぜ」
爽やかスポーツマンに腕を引かれる。「そんなやつといたら頭が悪くなるぞ」反対の腕を委員長に引っ張られた。
俺の可哀想な姿を見て、女子が羨ましそうにしている。代わってくれるなら是非代わってくれよ!
二人に腕を掴まれて捕らわれた宇宙人みたいになっている俺の首根っこを誰かが掴んだ。「ぐえ」なんて間抜けな声に反応したのか、二人の手が俺の腕から離れた。
「お前らいい加減にしろよな」
「あ、スーくん!」
スーくんは俺の首根っこから手を離して俺を自分の後ろに隠した。
スーくんは、いつも俺を助けてくれる幼馴染みの不良だ。否、不良っぽい人だ。
スーくんは綺麗な顔して強面だから、勘違いされて不良として通っている。実際は捨て猫や捨て犬は絶対拾ってきてしまうような優しい人なのに。
スーくんの登場に二人は渋い顔をした。二人はスーくんが苦手らしい。
「こいつのこと困らせてんじゃねーよ」
スーくんが俺を庇うように言ってくれて、やっぱりスーくんは優しいなぁ、と俺はニヤニヤしてしまう。男でも惚れるぜ。
「スーくんありがとう。俺と結婚しよう」
俺が冗談で言えば、スーくんは真っ赤になって、委員長と爽やかスポーツマンはものすごいスピードで逃げていった。あいつらなんなんだ。
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鈍感な平凡可愛いね!
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