「あー…気持ち悪い」
深夜も何時かわからない。確か合コンに行って、調子のって飲んで、それで、…なんだっけ?
ぐるぐる回った頭では、なにも思い出さなかった。隣にいる、同じ大学に通っているイケメンくんがおろおろしている。今日の合コンで一番モテてて、女の子に引っ張りだこだったはずなのに、何で俺の隣にいるんだ?まぁ、いいや。今は気持ち悪いので何も考えない方がいい。
「うっ、」
俺は堪らず茂みに駆け込む。びちゃびちゃ、生々しい音に加えて、口に広がる酸味やら苦味に更に気分は最悪。
「大丈夫?」
イケメンくんが背中を擦ってくれた。俺はうーうー唸りながらまた吐いた。
「はい、水」
「ごめん、ありがと」
イケメンくんから水を受けとる。今は公園のベンチに二人で並んで座っていた。
吐いてスッキリしたからか、だいぶ思考回路も動くようになった。
気持ち悪い口内を洗い流すように水を飲み下した。たっぷり飲んで、俺は溜め息を一つ吐いた。
「見苦しい所見せてごめんな」
「気にしないで?」
俺の謝罪に、イケメンくんは笑顔で返してくれた。
イケメンで性格も良いのか。何で合コンなんか来てたんだろう、と少し疑問に思った。
「そういえば、俺なんでお前といるんだっけ?」
「覚えてない?」
俺が頷けば、イケメンくんは困ったように笑いながら話してくれた。
酔い潰れた俺を肩にかついで送ってくれていたらしい。そして途中で吐かれたらしい。
俺だって男だからそこそこ重いはずだし、ましてや意識がないんだから苦労しただろう。
俺は申し訳なくて頭を深々下げた。
合コン来たのに俺なんかの介抱させて悪い、と言えば、イケメンくんは女の子達のアプローチから抜け出すことができたからこちらこそ助かった、的なことを言った。今のは自慢ととらせていただこう。
「あ、じゃあここまででいいぞ。酔いも醒めてきたし」
流石にこれ以上付き合わせるのは悪いので、俺はイケメンくんにそう言った。「え?」イケメンくんは驚いたように口を開いた。
「でも、まだ危ないよ?あんなに酔ってたんだから、油断してると事故とか、あり得るかもよ?」
「そ、そうか?」
「そうだよ」
力強く言われてしまい、断るのも今更あれかな、ということで俺は彼に家まで送ってもらうことにした。
家についた。ゲロまで見せたのに家にも上げずに返していいのか、と俺の良心が揺らぐ。しかし深夜だし、逆に迷惑じゃないか、とか考えてしまう。
俺は控えめに尋ねた。「あ、上がってく?」するとイケメンくんは笑顔で「じゃあ、遠慮なく」と俺と共に玄関までついてきた。
「なんもないけどいいか?」
「うん、大丈夫」
俺は冷蔵庫に入っていたお茶やら水を持ってイケメンくんがいるところに向かった。流石にもう酒を飲む気にはなれない。
イケメンくんはキョロキョロと部屋を見渡していた。なんか恥ずかしいからやめさせた。
数分間談笑してそろそろ帰らないかなぁ、とか思っていたがイケメンくんは一向に帰る気配がない。次第に眠くなってきて、俺はイケメンくんに言った。
「俺、眠くなってきたから寝てもいいか?」
「え!?あ、うん、い、いいけど、いいの…?」
「あ…?あー、べつに俺はいいけど…じゃあ、おやすみ」
俺は適当な返事をして、ソファーでそのまま眠った。
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なんか長くなっちゃったので、続きは後日
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