受けが酷い

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もう夏も終わりかぁ、と生温い風に吹かれる。俺のきしきしな剛毛が更にきしきしになるのを感じつつ、残暑が厳しいなぁとじじばばみたいな事を考えた。
特に嫌いな夏が過ぎていくのは喜ばしいが、虫がうるさい秋もさっさと過ぎればいいのに、と俺は早くも冬に思いをはせる。下らない思考ばかりが俺の脳では右往左往していた。
今は放課後で、幼なじみを待っていたらいつの間にか17時を30分も回っていた。
あいつをおいて帰るか、とか思いながらも立つことさえ億劫だ。



「あれ、まだ残ってたんだ」

「あ、松永…」



静かな教室にいきなり響いた声の主は、我がクラスの学級委員の松永だった。
奴は見た目は少しだけチャラいが、勉強も運動も出来る。おまけにイケメンってやつで、女子の人気は計り知れないものだ。
学校のアイドル茉里ちゃんだって松永が好きらしい。
俺は正直大嫌いだ。



「誰か待ってるの?」

「あぁ」



なんで話しかけてくんだよ、とか思いながらもぶっきらぼうに答える。本当は無視してやりたいけど、小心者だから答えてしまう。「もしかして市江くん?」俺は無言で頷く。
それにしても何で教室に来たんだろう。早く帰ればいいのに。



「…市江くんと仲良いよね」



それがどうした、と思わず松永に視線を投げた。松永は普段のキリッとした顔ではなく、ずーんと沈んでいた。そんな顔もイケメンとか腹立つ。
「どういう関係なの?」
松永が俺に顔を近づけながら言う。お前はそれを聞いてどうするんだ。



「幼馴染みだけど?」



俺はまたもぶっきらぼうに答えた。松永は気にもしないで「幼馴染みかぁ」とか言って笑っていた。何で笑ってんだコイツ、と思いつつ、やっぱり遅い幼なじみの事を考えた。



「てかさぁ、松永何しに教室来たん?用無いなら帰れば?」



数分たち、何もせずに側で突っ立っていた松永に俺は言ってやった。松永は眉を下げて、泣きそうに笑う。「あ、そうだね…」震える声。なんか俺が泣かしたみたいでヤな感じ。俺は思った事を言っただけ、とばつが悪くなりながら心の中で言い訳をした。
やっぱり松永は帰らなくて、泣きそうなイケメンとそれを放っとく平凡の図が出来上がった。
やっぱり俺が悪者?



「ねぇ、小松くん。俺の話を聞いてくれるかな?」



流石にこの空気で断れるほどおれは図太くない。頷く俺を見て、松永は喋りだした。



「俺、好きな人がいるんだ」



はぁ?
いきなりの恋愛相談に俺はぽかん、としながら松永を見上げた。松永は続けて喋る。



「その好きな人はね、俺が嫌いみたいなんだよね」



へぇ、と俺は頷く。そんな希少な女子がいるのか。女子はみんな松永を好きだと思ってた。
松永の恋路はどうでもいいが、その女子は気になる。



「小松くん、俺が好きなのはね、君、だよ」

「………はぁ!?」



松永の顔を勢い良く見上げる。松永は真面目な顔で真っ赤になりながら俺を見ていた。
途端鳥肌が駆け巡る。今は夏なのに寒気さえした。
嫌いな奴に好かれるのは予想を上回る不快感だけを残した。



「俺とのことかんがえ」「いや、ねーから」



俺がお前を嫌いなのを知ってるんだろ?何を寝惚けたことを言ってんだ。
「俺、お前嫌いだし。考えるまでもない。無理、無い」
俺は捲し立てる。この際全て言ってやれ、と俺は言った。



「俺は市江のもんだから」



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攻めが可哀想な事になった。続くかも…?








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